• 東京・日本橋。頭上を高速道路が走る、ごく普通の交差点です。

    でもここは、江戸時代の東海道の出発点。この場所から京都の三条大橋まで、約490kmの道が今もつながっています。

    その道を、夫婦ふたりで全部歩いてみました。

    きっかけは、アニメでした

    ある日、新選組が出てくるアニメを観ていて、ふと思ったんです。

    「この時代の人たちって、江戸から京都まで本当に歩いて行ったんだよなぁ」と。

    そして次の瞬間、「……私も歩けるんじゃない?」というアホな発想が降ってきました。

    調べてみると、旧東海道を実際にたどって歩ける地図がちゃんと存在することが判明。

    相方に「歩いてみない?」と声をかけたら、まさかの「いいよ」。

    こうして、我が家の東海道てくてく旅が始まりました。

    歩き方は「ちょっとずつ」

    といっても、一気に歩いたわけではありません。

    最初の一歩は、日本橋から大井競馬場まで。日帰りのお試しウォークでした。

    「意外と歩けるね」と調子に乗って、その年のGWには保土ヶ谷から小田原まで。

    そんなふうに、休みの日に少しずつ区切って歩く「分割方式」です。

    途中、コロナで2年間の中断もありました。

    気づけば足かけ6年。そして2026年。いちばんの難所、箱根の峠をついに越えて、東海道をほぼ歩き切りました。

    ……正確に言うと、「ほぼ」です。

    実は一区間だけ、大井競馬場から保土ヶ谷の間を歩いていません。

    この区間には、箱根の峠よりも高くて険しい難所があるのです。

    その名も、「相方の実家の前を通る」。

    相方に全力で拒否されました。

    おそらく今後も、この区間を歩く日は来ません(笑)

    歩いたからこそ出会えた景色
    富士川橋にて

    富士川橋と富士山。

    実はこの川、電気の50ヘルツと60ヘルツの境目でもあります。

    車ならあっという間に通り過ぎてしまう景色。

    でも歩く旅なら、自分のペースで、好きなだけ写真が撮れます。

    欄干の富士山と本物の富士山、贅沢なツーショットです。

    名古屋・宮宿、熱田神宮にて

    名古屋・宮宿では、熱田神宮にお参り。

    境内には「草薙館」という刀剣の展示館があるのですが、時間の都合で中には入れず。

    ガラス越しに映る刀を、ただ眺めるだけでした。

    新選組のアニメから始まった旅なのに、刀はおあずけ。

    いつか旅の無事のお礼参りに来て、今度こそ間近で見たいと思っています。

    大津、琵琶湖のほとりで

    京都の手前、大津での一枚。

    ホテルのご厚意でお部屋を無料アップグレードしてもらえて、高層階からこの景色。

    6年歩いてきたご褒美のような、穏やかな琵琶湖の夕暮れでした。

    そして、ゴール

    京都・三条大橋。東海道の終点です。

    ……正直、感動的なゴール、とはなりませんでした。到着の1時間ほど前から街中にはいったせいか急に人が増えてきました。そして橋に近づくほど、まわりは外国人観光客でいっぱい。

    「すごい人だね……」「ほぼ外国人……」と、相方とふたりで唖然。

    6年かけて歩いてきた終着点なのに、こみ上げる感動より先に、人の多さに圧倒されてしまいました。

    でも、これはこれで。

    自分の足だけで、日本橋からここまで来た。その事実は、静かに胸に残っています。

    このブログでは、東海道のこぼれ話や、日々のお散歩のあれこれを、のんびり綴っていきます。

    よかったら、また歩きに来てください。

  • バスに揺られて駅へ向かう途中、スマホをふと見るとえきねっとからのメールが。

    > ただいま一部の新幹線でダイヤ乱れ(遅れや運転見合せ等)が発生しています

    ……あらら。これから乗るはずの、あさま号。本庄早稲田の母のところへ向かう朝に、のっけから予定が狂います。

    さて、どうしたものか。新幹線は1時間に1本。バスの中で、ひとまず乗り換え検索とにらめっこ。早く家を出たのが功を奏して新幹線にこだわらず在来線でのんびり行っても、どうやら約束の時間には間に合いそう。遅延のおかげかキャンセル手数料もかかりません。

    それなら、と在来線の旅に切り替えることにしました。

    在来線に揺られて

    乗り込んだのは、在来線のグリーン車。せっかくだから、と二階席に腰を下ろします。普通車で長時間はおしりが四角くなってしまいますので、ふかふかの座席にゆったりと。お金はかかりますがおしり大事なので。

    >

    各駅停車は、景色をちゃんと見せてくれます。新幹線なら一瞬で通り過ぎてしまう町が、ひと駅ひと駅、ゆっくり流れていく。急がない時間って、こういうものでしたっけ。

    思わず二度見した、駅の看板

    上尾駅で、ふと窓の外を見て、ぎょっとしました。

    ホームの看板に、泥まみれの男の人たちがびっしり。「平方どろいんきょ祭」と書いてあります。なんでも、泥の中で神輿をもみくちゃにする勇壮なお祭りらしいのですが……インパクトがすごい。降りていったお客さんの中にも、看板を二度見している人がちらほらいて、ちょっとおかしくなりました。

    ちなみに発車サイン音が駅によって違うんです。何のメロディーかは有識者におまかせしますw

    >

    新幹線は、とりあえず動いていました

    熊谷のあたりで、高架の上を新幹線が走っていくのが見えました。私の乗るはずだった路線以外は通常運転でしたので。でもまあ、こうしてのんびり眺める側になったのも一興、ということで。

    >

    車窓は、一面の畑

    都心から大宮を通りすぎ本庄の駅が近づくにつれ高層ビルから戸建てへと景色を変え、やがて田畑が増えてきます。麦やとうもろこし、野菜が見えてきました。このあたりは二毛作が盛んな土地で、春から初夏にかけて麦の収穫が終わると稲作が始まります。教科書では知っていた言葉がこの地域ではしっかりと人々の生活の源となっていますね。

    >

    本庄駅に到着

    電車が着くと、ホームの外には施設の最寄りへ向かうバスが、ちょうど待っていてくれました。乗り継ぎがぴたりとはまると、それだけで嬉しいです。

    >

    バス停から、てくてく

    バスを降りて、施設まではすこし歩きます。ただ、この道がなかなかの「車優先」。場所によっては歩道らしい歩道はなく、白線の外側のわずかな隙間を選んで歩きます。地方あるあるですね。

    >

    おわりに

    新幹線が遅れて、思いがけず始まった在来線の旅。

    予定は狂ったけれど、グリーン車でのんびりしたり、ぎょっとするお祭りの看板に出会ったり、二毛作の畑を眺めたり。急がなかったからこそ見えたものが、いくつもありました。

    たまには、こんな寄り道も悪くないですね。